日本语が怪レい日本人

À la recherche du futur perdu

大人になったオタクたちに贈る「冴えない彼女の育てかた fine」


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青春をありがとう。
先日、「冴えない彼女の育てかた fine」を公開4週目にして見に行った。
テレビシリーズが始まったのが2015年。思い返せばもう4年を数える。
以下ネタバレを含む内容なので注意していただきたい。

放送開始当時私は学生だった。
学生時代の思い出が蘇ってきた。自分と冴えカノの成長を重ね合わせ、目から熱いものが溢れることも多々あった。
青春を教えてくれた、そして大人になってから見る『冴えカノ』。
観てよかったと心から思える映画だった。本当に、ありがとうございました。

深崎暮人との出会い

冴えカノについて語る前に深崎暮人と私の出会いについて触れなければならない。
彼といえば水平線まで何マイル?が有名だ。
私が初めて深崎暮人について知ったのはその後に発売された「失われた未来を求めて」というゲームである。
trumple.jp
当時シナリオADVゲームに全く興味がなかった私がその魅力に触れ、沼にはまったきっかけとなった作品である。
ネットでは正直あまり評価が高くないが、私は後世に残る名作だと思っている。失われた未来を求めてについて語りたいことが山々だが、話が脱線してしまうのでやめておく。
ちなみにこの作品以降、深崎暮人はゲーム原画の仕事から離れている。
冴えカノを視聴開始する際、原作イラストが深崎暮人と知り、強烈な運命を感じたのをよく覚えている。

冴えない彼女の育てかた(第一期)

初めて見たときから一貫して、繊細なキャラデザ、加えて緻密かつ忠実な背景、なんといっても洗練されたアニメ本編のデザインがこの作品の特徴であると思う。

Blu-rayで見たいアニメ

タイトルロゴ、OPのカメラワーク、霞ヶ丘詩羽 の御御脚、OP構成さらにPVの画面構成...etc何度も言うが洗練されたデザインに強く惹かれる。
www.youtube.com
まるでADVのような統一されたデザインモーション。2010年代のギャルゲー時代晩期を思うのは私だけだろうか。

すべてが繊細のため、「良い画質でみたいアニメ」だと思った。派手なモーションは無いものの、作画の線一つ一つを見逃したくない、そんなアニメだ。ゲームでグラボを高級にするように、アニメをBlu-rayで見たい衝動に強く駆られた。

今思えば第1期のストーリーは結婚式で流れる『馴れ初めビデオ』のようで、年とったなーと寂しい気持ちを覚える。

♭(第2期)

blessing softwareの物語において、起承転結の転にあたるのが♭である。霞ヶ丘詩羽、澤村スペンサー英梨々がサークルから離れ(引き抜かれ)、新たに波島兄妹が加わる。

加藤恵"変化"

どこにでもいるあまり目立たない普通の女の子が加藤恵のコンセプトだったはずだが、確実に文句の言えない『メインヒロイン』になったのは間違いない。
優柔不断で鈍感でクソ陰キャラ主人公の安芸くんと加藤恵の恋は目立って進展することは無かったものの、二人の間に確実に生まれ始めた感情がこのあとの劇場版で爆発する。

ここまでが前置きである。全くダラダラ長ったらしく散文的!に書いてきたが、ようやく劇場版の内容となる。どうせ誰も見てないし、自己陶酔のオナニーでしかないのでそのまま続けることにする。

冴えない彼女の育てかた fine(劇場版)

加藤恵は"普通の女の子"ではなかった

告白のシーンで安芸くんが言ったセリフ、まぁ酷っいこと言うなと思ったが、それが彼女にとっての安芸くんの魅力であり、好きになったところだ。
巡璃と加藤恵が、「誰もが羨むメインヒロイン」になった瞬間である。もっとも、加藤恵は自分なりの答えを出した。「普通の女の子」であった、装っていた自分を捨て、あなた(倫也くん)だけのヒロインになった。萌ブタが悶絶、発狂して喜びそうなストーリーだったが、この物語にお前らの入る余地などないことを忠告しておく。
一期では彼女は確かに印象に残らないごく普通の女の子だった。
彼女から『メインヒロイン属性』を引き出したのは間違いなく安芸倫也だが、自らの殻を破ったのは加藤恵である。彼を慕い、彼に恋をした彼女にありったけの称賛を贈りたい。
告白シーンの場所が住宅街であったことも刺さった。わかってるなCroverWorks!!そうだよ!それそれ!二人の特別な思い出はそういうのだよな!

大人になったblessing software

終盤は5年後(?)に舞台が移り、胸熱シーンが続く。
霞ヶ丘詩羽が黒髪ロングからショートヘアに様変わりし、当初加藤恵と勘違いしてしまうほどだった。いまだに倫理くんに未練タラタラな彼女が面白かった。
その他にも英梨々がブラックカードを取り出すシーンで"成功"を感じた。

メインの方は加藤恵の嫁力がさらに増加し、二人に夫婦の雰囲気が漂っていた。

特典も熱かった

特典小説はicy tailのボーカル、氷堂美智留についての物語だった。彼女や彼女の周囲が選んだ選択に、涙がこぼれた。
夢を追いかけるリスク、諦めて得る安泰。
それがそう簡単に割り切れる話では無い事を強く訴えかけられた。
大人になってから見てよかった。
学生では完全に理解できない、大人になったオタクに向けた作品だった。

追記:最後の東京ラブストーリーネタ、ほとんどのオタクが置いていかれてて無茶苦茶面白かった。さすがフジテレビだけある。