日本语が怪レい日本人

À la recherche du futur perdu

Project118はもう来ないのか―色づく世界の明日から 全話見た感想

このアニメ辛くて重いよ...。

昨今のPAWORKSは不作続きで円盤が鳴かず飛ばず、アニメーターにまともな給料が払えないなど散々な言われようだ。
色づく世界の明日からは放送当時1話から追いかけていた作品だった。石原夏織の事務所ゴリ押し期*1に見事主演をつかみ取った本作を、名作「あの夏で待ってる」谷川 柑菜以来のファンである私が見ないわけがなかったのだった。
しかし結果から言うと前半(5話ぐらい)でつまんなくて切ってしまったわけだが、最近AmazonPrimeで見つけ続きを見始めた。
全編を通してとはいかないが、後半かなり良かったので書き綴りたいと思う。

長崎

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OP
劇中とにかく坂を下ってるか上ってるかしてる。長崎は坂が多いことが有名だ。

前川清が歌っているように長崎はいつも雨だった。わけだが、雨も演出の一つとして取り入れられ、長崎らしさを醸し出している。

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#5
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ED

モールス信号のくだり

篠原俊哉ここにあり!だった。長崎=軍港ということもあってか、前作(凪のあすから)に続いて何かしら海に関した演出にこだわりをもっているよう。

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#11. 欠けていく月
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#11. 欠けていく月"
二人とも信号の点滅が短いため、モールス信号ではない(解読できない)模様。気になって調べたが「アイタイ」とか「スキ」ではなさそう。

時計の演出

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#1 キミノイクベキトコロ
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#13 色づく世界の明日から
要するに過去(2018年)ジャンプしてからまだ10分しかたっていない。

→過去(2018年)は10分で多種多様で濃い思い出が作れた
→青春時代と大人になってからの時間経過の暗喩

詳しく言うと瞳美が過去(2018年)で過ごした時間は4月~10月ぐらいなため過去の約半年間=今(2078年)の約13分という等式が完成する。
あくまで個人的な考察だが、大人になってから青春時代を振り返って、あの頃は毎日が一瞬のように過ぎていったなぁと懐かしむような演出と受け取った。恐れ入った。
これは大人になったら毎日マジでつまんなくて時間を長く感じることの暗示で、正直言ってかなり重いメッセージ。大人になんかなりたくねぇな(ハナホジ)と思わせてくれた。

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2078年からのLINE
2078年にもLINEがあるのか...(困惑)。
送信時刻に一瞬疑問を持ったが、「瞳美がタイムトラベルから帰ってきて一通り落ち着いたところでメッセージを送信した」という設定なのだろう。

凪のあすからとの関連性

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#10
まぁ見たことあるな。監督同じだからね。
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ED
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凪のあすから 
傘飛ばしーー

凪のあすからのアンサーストーリーという解釈はできなかった。正直答えも何もなかった。恋愛要素はもちろんだが、それを時間軸のズレと混ぜることで始まるドラマという点ではほぼ一緒。港町を舞台にしたこともそう。未来(凪あすは過去)から主人公がやってきて、恋愛関係図をぐちゃぐちゃにして帰る悪趣味なストーリーも同じ。だが今回のメインテーマは色を取り戻すか否かである。結果的に恋することによって色を取り戻したわけだが、あくまで色を見えるようにする為の手段であって本ストーリーの目的では無かった。以上から本作は凪あすファンに向けた(続編の代替)作品のようだ。

フライさんがキャラクターデザイン、なんといっても色をテーマにしているだけあってかなりしつこくこだわっている。

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キービジュアル
それぞれが持つ傘には意味があるようだ。
月白 瞳美
薄水色/不明(透明/ビニール傘?)
月白 琥珀
黄色?/琥珀色?
風野 あさぎ
水色/あさぎ=水色から?
葵 唯翔
葵色/葵色から?
山吹 将
群青色?/おまえは山吹色違うんか
深澤 千草
山吹色?/この二人逆じゃね?千草色でもなさそう
東山奈央
赤/胡桃色に近い?
こう見てみると案外関係ないのかもしれない。
主人公以外の登場人物全員が色を冠する名前になっていることも面白い。(主人公は色が見えないから)
全員の傘を並び替えると虹色になり、最終回で語られた絵本の話に結び付くようだ。


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その他

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毎回のサブタイトルカードがフライさんの同人誌ぽい

最終話

墓には誰が眠っているのか問題

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紫色の花が葵の一種、午時葵に見える。
午時葵の花言葉「明日死ぬ」などと合わせて、この墓は主人公が恋した葵 唯翔の墓で間違いなさそう。タイムリープしたら家族が結婚、妊娠してたり恋人が死んだり監督は毎回エグいことするなぁ…。

総括

私は好きだった。石原夏織の前半の棒読み芝居も、後半につれて馴染んでいきそれさえも演技だったのかと感動した。混ぜていくと色が調和する絵の具のよう。恐るべし石原夏織
PAWorksは毎回もったいないことしてくるのが困ったものだ。今どきシャンシャンしてたり楽器引いてたり歌歌ってれば売れるのに、濃厚かつ複雑な人間関係を描くドラマをやるところがいい。おかげで売れなかったけど。(それは同時にオタクの読解力のと教養力の低下を意味するわけだが…)
前半の単調な感じで脱落した視聴者が多かったようだが、ぜひ最後まで見てほしい。ネタバレしておいてアレだが、おもしろかった。

*1:ゆいかおりが解散し、ちょっと間をおいてソロCDデビューを果たした時期